山口のむかしばなし

町図書館に「山口のむかしばなし」という本があります。その中に、「石城山のやまうば」の話が載せてあります。
ずっとむかし、石城山の神篭石の水門の中には、「やまうば」が住んでいました。この人は
たいへんやさしくて、里の人のいろいろな願い事を聞いてくれたそうです。秋のお祭りの日が近づくと、水門の前に行き、祭りで使ういろいろな道具の名前を紙に書いておきました。いよいよ祭りの日になって里の人が水門の前に行くと、頼んだ道具がちゃんとそこへおいてあり、それを使って楽しいお祭りができました。ところがある年のこと、一人のあわてものが大切なおわんをひとつ壊してしまいました。そのとき、里一番の知恵者のおじいさんが、「やまうばは年をとってもうろくしているから、わかりゃあせんだろう。」といったので、
数が足りないまま道具を水門の前へ返しました。そして、一年が過ぎまた秋祭りのころがやってきました。そこで、里の人が水門の前で道具を大声で頼みましたが何の返事もありません。それどころか、突然水門からどっと水が噴出してきたのです。「うわあ、やまうばが怒ったぞ。去年のばちがあたったんじゃ。」とふもとの里へにげかえりました。それっきり、次の年から里の人たちに裏切られたやまうばは、もう二度と祭りの道具を貸してくれなかったそうです。(山口のむかしばなしより)・・・今の子供たちに聞かせたいお話です。